竹本 久子 詩集その1

 

思い出』 

 

ほうきを持ってホタルを追った

 子供の頃を思い出す

ホーホーホタル来い

 あっちの水はニーガイよ

  こっちの水はアーマイ・・よ

 

楽しく過ごした子供の頃

 パパイのヒゲは黒かった

ママイの胸のなつかしく

 わたしオカッパ素ハダシで

    ただ幸せで跳びはねた

 

兄姉妹七人で

やさしき父母の膝の下

 月夜の晩を思い出す

手に皿持ってお月見と

シャレタ夕餉のシオカラ・・を

 

二度と帰らぬ過ぎし日を

 今思い出すしみじみと

良き父母持った幸せや・・を

よききょうだいにかこまれて

過ごした日々のなつかしく

 

 

 

美しき唄声』  

 

蛙なく虫が鳴く

 蝉が鳴く

夕闇の迫る頃 西の空

 赤く焼けたが今は色うすく

人の姿もはや見えず

物もうごかず ただ・・・

ただ聞こえてくるよ

 生けるものたちの合唱・・が

 

誰が教えたあなたたちに

 人の心にしみる唄声

  ひとのこころ

うるおす唄・・を

 

昨日も今日も

きっと明日も 大合唱

ああ いとしき命の兄弟・・よ

唄っておくれ

唄っておくれ 命の限り・・

そのはかなく

短き一生の美しき唄声

讃えるもののあることも

 知るや知らずや

いのちのかぎり・・

 

 

 

               

 

作者自己紹介】

 

竹本 久子

1933年11月10日、サンパウロ州 Presidente Venceslau

生まれの日系二世ブラジル人です。

趣味は詩、読書、踊り、トランプ、旅行。

下手の横好きでカラオケもはじめました。

2005年から8年間、サンパウロの「詩話会だより」

に投稿をしていました。今後も「のうそん」に投稿

させていただきたいと思っております。

 

 
 
 
 
 
 
 

 この記事は「のうそん268号」(日伯農村文化振興会発刊)より、同誌と筆者の許可を得て転載しました。(Trabras )  

 

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