ブラジル人の消費過熱が米を潤す

   9月7日はブラジル独立記念日でした。翌日付の全国紙のトップ記事は、ヂウマ大統領の就任初となる首都ブラジリアでの祝賀パレードの模様が飾るか、と思われましたが、予想は外れ。メルケル独首相、ヒラリー米国務長官に続く影響力を有す女性とされる大統領の「晴れの日」の写真の上に君臨したニュース。それは「米国で最もお金を使う国別観光客ランクでブラジル人が3位に」というものでした。

米国旅行での平均消費額は9,800レアル(約50万円)。同国商務省発表の統計によると、これは日本人、イギリス人に次ぐ数字で、ドイツ人、フランス人を上回り、2003年から2010年にかけての増加率は250%―。もっとも、日本人が依然として1位を維持し、その消費額はブラジル人の2.5倍というデータにも驚かされました。
ブラジル人が海外で積極的に買い物をしている背景としては「レアル高、高関税、給料高騰」の3つが挙げられます。ブラジルでは輸入品が総じて高く、例えばヒュンダイ社の乗用車santafeは米国で約2.1万ドル、ブラジルでは同6.9万ドル、iphone 4は米国299ドル、ブラジル1,323ドル、ナイキのスポーツシューズair maxは米国125ドル、ブラジル315ドル。「買い物は年1,2回まとめて米国で」というブラジル人が出てきても不思議ではありません。
  こうしてお金を落としてくれるブラジル人観光客に対し米国政府は査証申請手続きのスピード・簡略化を実施しています。また、10年前にはブラジル人の査証申請者のうち40%が発行を却下されていたそうですが、現在の却下率は5%程度だそうです。

   私が住むナタル市では最近は方々の旅行代理店が「米国買い物ツアー」の看板を掲げています。相乗効果でしょうか、アパートの半径500メートル以内には英会話スクールが少なくとも7軒はあり、うち3軒はここ2,3ヶ月の間に営業を開始したものです。
気がつけば今年も残り3ヶ月、ある程度裕福なブラジル人の目下の懸案事項は、年末年始の休暇にどこに出かけるか、何をして過ごすかにありますが、その典型例は「旅先は米国」で「目的は買い物」であるようです。旅行代理店業界の調査によると、年末年始の海外旅行先で人気が最も高いのは米フロリダ州。ディズニーランドのあるオークランド、そしてマイアミビーチでサッカーボールを蹴ればブラジル人に当ることでしょう。

リオグランジドノルテ州ナタル市にて 2011年9月12日 小林大祐      (←クリックでプロフィール紹介)

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