田舎町の酒場で

 

 サッカーのW杯が終わったあと、世間の話題は政治に移っています。今年は大統領、連邦上院議員、州知事、州議院議員が選ばれる選挙の年です(連邦下院議員、市長、市議会議員は別の年)。投票日は10月3日。すでに有力候補者の公開討論がTV等で放映されるなど選挙戦が徐々に熱を帯びてきました。

 

 先日、荒alt野の田舎町に出張していたときのこと。夜にも関わらず、候補者の応援ソングを爆音で流す選挙カーが右往左往。プロジェクト関係者やプロジェクト参加農民と集まってビールを飲んでいたのですが、あまりのけたたましさに会話がさえぎられるほどでした。この日はサッカーの新生ブラジル代表がアメリカとの試合に完勝した翌日で、またサッカーのリベルタドーレス杯の決勝戦(ブラジルとメキシコのクラブチーム)の当日。そのため、政治とサッカーの話題がしばらく続き、宵(酔い!?)も深まった頃、男性が集まったときの話題の定番である“女性話”に花が咲きました。

 

古今東西、文化や人種が違えども普遍的に話が盛り上がるのは“男女”のこと。これはおそらく普遍的ではないかと思います。こうした席に加わるたび、男女絡みのネタをひとつふたつ用意しておくことの大切さを痛感しています。

 

いつしか話は「結婚」に関することになりました。酒席にいた10人ほどのほとんどが2,3回結婚を経験している、いわゆるバツ1、バツ2であると分かりました。ある農民のお姉さんは先日「8回目の結婚」をしたそうです。20歳で初婚、現在40歳と言いますから3年に一度くらいのペースでダンナを取り替えていることになります。仮にこのペースで行ったとして、その女性の人生を70年と計算すれば、残り30年の間に10回結婚し、生涯18回結婚したというギネス記録(そんな記録があるかは知りませんが…)の達成も夢ではないかもしれないと、不道徳な想像をしてしまいました。

 

とまれ、一生に8回も結婚できると思えば、私(たち)の現在の結婚生活もきっとずいぶん違ったものになるでしょう。そんな話を聞いてもさほど驚きもせずに受け入れる価値観・文化を身に付けている彼ら。彼我の差は大きいです。しかしそんな彼らと手を結び、ある意味「日本的な枠組み」で形成されたプロジェクトを遂行していくことが求められているわけです

 

私たちが飲んでいた場所はガソリンスタンドに併設されているバーでした。日本ではガソリンスタンドで酒を提供していることからして常識の範囲外です。また、私たちの背後で腕を組んで立っていた一群は、バー(ガソリンスタンド)に設置されていた大型スクリーンでリベルタドーレス杯の試合観戦するため4駆のパトカーで乗り付けてきた職務中の軍事警察官たちでした。ガソリンスタンドのバーで飲んでいる客たちが飲酒運転して帰宅することは自明のことですが、何のお咎めもなかったことは言うまでもありません。

 

リオグランジドノルテ州ナタル市にて 2010年8月15日 小林大祐

コメントは受け付けていません。