竹本 久子 詩集その3 『暮らしの中から』

 

 

  『 猫 』


子猫をもらった

二疋共 雄猫

一ぴきの名はミーシャン

もう一ぴきは ミシ

ミシは灰色

ミ―シャンは白地に濃い まだら

性格は違う けど

それぞれに 愛らしい・・・

じゃれ ついて

じゃれついて

じゃれついて 甘えなき

背をまるめ すり寄って

ゴロゴロとのど鳴らす

時々は

疾風のように右ひだり

追いつ追われ組み合って

また はなれ

もつれ合っては ギャーとなく

ふと見れば 音もなく

重なってタペッテの上

グッタリ・・・と

どんなゆめを見ているのだろうか

 

 

 

   『 な み だ 


悲しみの

なみだ あふれてほほ伝う

帰らぬ人を思いつつ

その思い出に ひたる とき

止まることなく ほほぬらす

その あたたかさ

ぬくもりに

ひとり心を癒しむる

よろこびの

なみだ あふれて ほほ伝う

人の情けに ふれた時

そのやさしさに 包まれて

止ることなく ほほぬらす

そのあたたかさ ぬくもりは

生きる力のよろこび・・・を

 

 


  『 夢 


夢を見た

空を飛んでる夢を見た

軽やかにスイスイと

自由自在 楽しくたのしく

空を飛んでる

夢・・・を見た

薄く柔かな布まとい

ヒラヒラと長いすそ

もつれるように なびかせて

まるで天女の様に 美しく

空を飛んでる 夢を見た

どこからか 楽の音が・・・

それに合わせて たをやか・・に

わたしは 優雅な

舞をまう・・・・

夢の世界のうつくしく

夢の私も美しく

さめて くれるな

いつまでも

 

 

 

   『女の坂道』

 

人生も 下り坂に なると

多くの人は

想いでのみに生きる という

あなたにも わたしにも

美しい青春の日々が あった

 

  人は それぞれを 生きて 来て

  人生の岐路と言われる

  結婚をして 母となり 祖母となる

  ああ・・その時・そのときの

  大いなる 感激

  大いなるよろこび

 

ああ 人生は 美しい

ああ人生は 幸せなるかな

何ものにも 替えがたい

家庭という楽園を

持ち得た 私たちは・・・

神よ・・あなたに 感謝する

すべては あなたの

大いなる愛あれば こそ・・・

 

  下り坂と言うけれど

  美しい 思い出 持つ者は

  よろこびを 胸 いっぱいに 持つ者は

  永遠に 心 明るく

  下り坂も ころばない・・・

 

 

  

 

 

 

               

 

作者自己紹介】

 

竹本 久子

1933年11月10日、サンパウロ州 Presidente Venceslau

生まれの日系二世ブラジル人です。

趣味は詩、読書、踊り、トランプ、旅行。

下手の横好きでカラオケもはじめました。

2005年から8年間、サンパウロの「詩話会だより」

に投稿をしていました。今後も「のうそん」に投稿

させていただきたいと思っております。

 

 
 
 
 
 
 
 

 この記事は「のうそん279号」(日伯農村文化振興会発刊)より、同誌と筆者の許可を得て転載しました。(Trabras )  

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