ついにこの北東部の地にも流通するようになったか――。市内の大手スーパーマーケットの棚で先日、ネスプレッソのコーヒーカプセルが売られていました。この州では初めて目にしました。ネスプレッソは高価格帯の製品です。その出現は所得増加を示す、ひとつの指標とも言えます。
コーヒー愛好者の方はネスプレッソのことをご存知と思いますが、ウィキペディアから説明文と写真を引用してみます。
「ネスプレッソ(Nespresso)はネスレ社が発売しているエスプレッソマシン/コーヒーメーカーの規格であり、通常、豆の種類や焙煎、さらには湿度や温度によって挽き具合や圧力、抽出時間をある程度調整する必要があるが、ネスプレッソでは規格化したカプセルシステムの採用によりそれらの手間を無くしている」。写真で確認できる、整然と陳列されたカラフルな品物がそのカプセル。下に並ぶ専用マシンにセットするだけで高品質のエスプレッソをいただけるようになっています。
かつては“本場ブラジル”で飲むコーヒーが期待外れのため落胆させられた日本人観光客が結構いたものです。しかしそんな時代も昔日のことに。世界最大のコーヒー生産・輸出国ブラジルは2012年にも、米国を抜いて世界最大のコーヒー消費国にもなる見通しで、著しい経済発展による国民所得の増加を背景に高品質のコーヒーを嗜む傾向が強まり、飲み方も多様化しています。
ネスプレッソの進出はその一端ですが、本社はスイス。4ドル/kgでブラジルから輸出された豆がスイスで製品化された後、ブラジルには78ドル/kgになって帰ってくるそうです。スイスからだけでなく、LavazzaやIllycaffeのあるイタリアやStarbucksのアメリカに加えて、「中国からさえもコーヒーを輸入している」状況にブラジルはあると先日の新聞で報じられていました。
一方、この国の輸出高に占めるコーヒー豆の割合はこの10年間で5%も減少しています。コーヒー豆の最大の生産・輸出国とはいえ、「ブラジルといえばコーヒー」と言うには色々と注釈をつけなければ語れなくなってきているようです。
( 筆者 小林大祐 2011.2.1)
(筆者プロフィール)
小林 大祐
1998年早大社会科学部卒。
ブラジル邦字新聞社「ニッケイ新聞」元記者。
現在建築コンサルタント会社勤務、ブラジル北東部駐在、
JICA技術協力プロジェクト従事。