仕事に関する事例


事例047ジレイ リサイクル業の許可をとりたい(岐阜県可児市、男性35歳)
相談ソウダン 個人で家電製品等のリサイクル業を始めたいので許可を取りたい。回収物の置き場として借りる土地の賃貸借契約書の内容もチェックして欲しい。
対処タイショ リサイクル業を始めるためには、営業所を管轄する警察署に対し、「古物商許可申請書」を提出し許可を得る必要がある。作成・提出に協力、後日許可が下りた。
土地賃貸借契約書の内容に問題なし。ついでに不動産屋に交渉して賃借料を1割負けさせた。
事例048ジレイ048 会社設立(埼玉県上福岡市、男性28歳)
相談ソウダン 在日ブラジル人向けのブロードバンド取次店を設立したい。通信会社と交渉して代理権を取得して欲しい。
対処タイショ 定款作成、法務局への登記、金融機関口座開設、税務署等宛開設届等手続に協力して設立。
NTT、KDDI、ソフトバンクと交渉、3社の二次代理店となり創業3年で数万人のユーザーを獲得するまでに成長。
事例049ジレイ049 金融機関から融資を受ける(愛知県犬山市、男性29歳)
相談ソウダン 創業1年以内の在日ブラジル人向け中古パソコン等販売店。資金繰りが厳しいので金融機関から500万円を借り入れたい。
対処タイショ 経営資料を分析、事業計画を策定して融資申込書を作成。政府系金融機関である国民金融公庫に対し、創業資金として750万円の無担保低利融資を申込み。減額されたが500万円の融資を実現。
事例050ジレイ050 売掛金請求訴訟(愛知県岡崎市、男性53歳)
相談ソウダン ブラジル人の中古自動車販売店に車を8台売ったが、6ヶ月過ぎても社長はその代金を払わない。裁判に訴えたい。
対処タイショ 証拠書類を確認して訴状を作成、簡易裁判所に提出。社長は、日本語が分からず、答弁書も書けず、弁護士に委任するとも思えず敗訴は確実。初回裁判期日前に社長が、本人に売掛金総額の約70%の現金を持参、謝罪して和解。訴訟取り下げ。
事例051ジレイ051 クレジット端末装置設置(群馬県太田市、男性36歳)
相談ソウダン ショッピングセンター経営中。客の要望に応えクレジット払いにしたい、端末装置を店頭に設置したい
対処タイショ 決済代行会社と打合せ、クレジットカード決済サービス申込、加盟店審査手続を代行。創業後間もないので現在審査継続中。
事例052ジレイ052 ブラジル人に有給休暇はない(滋賀県長浜市、男性46歳)
相談ソウダン 社長に有給休暇をもらえないかと頼んだらブラジル人には有給休暇を取る権利はないと言われた。
対処タイショ 当然権利がある。会社は、働く人の国籍などによって労働条件につき差別的な取扱をすることを労働基準法という法律で禁じている。
誰でも6ヶ月継続勤務し、所定の労働時間の8割以上出勤した場合は、10日間の有給休暇を付与される。更に1年継続勤務すると11日間となり、毎年1日ずつ増えて6年半後は、最高20日までもらえる。有給休暇を利用しなければその分は翌年までは繰り越して利用できるから最高40日となる。
有給休暇は申請をしなければもらえない。申請すれば原則としていつでも休める。
事例053ジレイ053 有給休暇もなく年末年始の休みも無給(東京都小平市、男性47歳、女性46歳)
相談ソウダン 食品製造工場で直接雇用され、約10年働いているが、有給休暇をもらったことがない。もうすぐ年末年始の休みに入るが無給で困る。
対処タイショ 工場と話し合った結果、当然ながら有給休暇取得を認めた。年末年始の休みについても次年度以降有給休暇とは別に、特別休暇を付与し有給にすることも確約。
事例054ジレイ054 有給休暇を与えるふりして与えない(愛知県豊明市、女性58歳)

相談ソウダン

同じ派遣先工場で10年以上働いてきたが、2ヶ月前に婦人科で入院・手術を受けるため、社長に1週間の有給休暇を願い出た。社長はOKと言い、「申請書出せ」と言ったため労働基準監督署に出向き申請書を作成してもらった。
退院後、給料明細書を見ると1週間の有給休暇のはずが欠勤扱いで無給。抗議すると社長が突然「仕事が少なくなった、辞めて欲しい。」と。有給休暇の申請をしたことが真の理由と分かったがもう疲れたので受け容れた。
辞める前、20日間の有給休暇を社長に願い出た。社長は、再びOKと言い、「申請書を出せ」と答えた。再び監督署に行き、同じ相談員に申請書を作成してもらい提出。しかし退職後の給料明細書を見るとまたも欠勤扱いで無給。
監督署に申立。監督官の調べに対し、社長は「申請書を受け取ってない」と嘘を吐いた結果、監督官は「両者の主張が食い違っているのでこれ以上何もできない」と回答された。
対処タイショ 監督署の無責任な対応に抗議。2度も申請書作成に協力しておきながら「何もできない」は許されない。「2度の有給休暇を認めさせなければ監督署を“職務怠慢で訴える”」と言ったところ、その日のうちに課長が会社を訪問。課長の報告、「20日分は認めたが、1週間分はどうしても認めなかった」と。
事例055ジレイ055 有給休暇をとらせてもらいたい(三重県鈴鹿市、男性46歳)
相談ソウダン 派遣会社で10年以上働いてきたが、有給休暇をくれと言えばクビにされる。自分たちだけではとれずブラジル人皆が困っている。
対処タイショ 労働者の名前は告げずに労働基準監督署に申告。会社に賃金台帳とタイムカード等を提出させ有給休暇利用の実績がないことを確認させたため、監督官が直ちに付与するよう会社を厳重指導。2週間後、相談者より有給休暇をもらうことができて「皆喜んでいる」と。
事例056ジレイ056 給料前借り詐欺(栃木県小山市、夫28歳・妻24歳)
相談ソウダン 派遣会社で妻と2人で働いていたが、給料が約束と違うので2ヶ月後に退職。2ヶ月分の2人分の給料を全く払ってもらえない。社長は、「前借り金」を差っ引くと払う分は無いと嘘をいう。入社時の前借り金は以前全額返済している。
対処タイショ 所管の労働基準監督署に申告。会社は、監督官に対し、前借り金を記録したノートを示し、相殺すれば払うべき給料は無いと主張。しかし、夫婦が前借りした事実も証拠もない。会社が勝手にノートに記帳しているだけ。
監督官の勧めで監督官立ち会いの下、本人を交えて社長と対決。ノートを前に「これは本物か偽造か」を糺し、警察署に同行して欲しい、嫌ならすぐ未払給料全額を現金で払えと主張。2時間後に全額払った。
事例057ジレイ057 残業不払と裁判(長野県茅野市、女性47歳)
相談ソウダン ホテルで働いていたが、2年前、会社を辞めた。理由は、残業代は払われず、当初の時間給が無断で2割下げられ、有給休暇もなく、食事は残飯を食べさせられて我慢できなくなったから。
労働基準監督署に申告したが、社長の言い分と本人の話に大きな食い違いがあり裁判する以外にないと言われた。
簡易裁判所に行ったら、親切な書記官が裁判所からホテルに対し「支払督促命令」という文書を出す方法があるとアドバイス、書き方も教えてくれたのでその場で手続を終えた。ところがしばらくすると書記官から連絡があり、訴えを取り下げるよう勧められたが意味が分からない。
対処タイショ 書記官に問い合わせると支払命令を受け取ったホテルが異議申立をしたため裁判に移行したとのこと。ブラジル人が1人で裁判を戦えば負けると判断、取り下げをアドバイス。負ければ全てを失うが、取り下げておけば話し合いの余地が残るため。
直ちに取り下げて改めて労働基準監督署の担当監督官に善処を申立。監督官と社長を交えて3者による電話協議で和解。相応の解決金が支払われた。
事例058ジレイ058 帰国時の賃金不払い(静岡県浜松市、男性42歳)
相談ソウダン ブラジルに帰国するため派遣会社の了解を得て円満に退職することになっていたが、社長は最後の給料をなかなか払ってくれない。帰国日が迫っている。
対処タイショ 労働基準監督署に緊急申立。監督官の指導で1週間後、帰国直前に支払われた。退職する場合、会社に対し、退職後1週間以内に給料を支払うよう求めることができ、会社はこれに応じる義務がある
事例059ジレイ059 騙されたブラジル人の労働組合(静岡県袋井市、男性30歳)
相談ソウダン 派遣会社とのトラブルがありブラジル人の労働組合の委員長に交渉を一任。「会社が非を認め解決金を払う」という覚書を交わしたが払って来ない。
対処タイショ 覚書をチェックすると、内容が逆で「本人が非を認め今後一切何も請求しない」と明記されている。会社は、委員長が、日本語を読めないことを知って嘘の内容を読み聞かせたのである。
労働基準監督署は、話はできるが読めないブラジル人に文書を読み聞かせてくれるので、委員長が会社の読み上げた内容を疑わずに署名した。
警察署に詐欺事件として相談。相談した事実を元に派遣会社を責めると「正確に読み上げた。」と抗弁。「労働組合が要求放棄の覚書を交わすことはあり得ない。被害届を出してあるので警察署に同行してもらいたい。」と申し入れた結果、要求額が半減されたが払われた。
事例060ジレイ060 配置転換のいじめ(愛知県岩倉市、男性43歳)
相談ソウダン 派遣先工場で検査作業を担当して10年以上継続勤務している。椎間板ヘルニアの持病を持ちコルセット装着で作業していることを工場は知っている。
ある日、工場の課長が作業方法に関し間違った指示を出したため本人がこれを指摘。すると突然職場を替えられ重量物を扱う仕事に回された。このままではヘルニアを悪化させ仕事を辞めなければならない。
対処タイショ 「重量物を扱う仕事は無理、軽作業なら可能」という医師の診断書を取らせ課長に提出。すると課長は「軽い仕事は無くなった」と嘘を言ったため、派遣先(工場)と派遣元(派遣会社)に対し、派遣法に基づく「“迅速的確”な苦情処理」を申し出たところ、翌日別の軽作業の職場に再び配置転換され、本人もこれを受け容れ決着。
事例061ジレイ061 雇用保険受給資格取得(静岡県磐田市、女性28~49歳の12人)
相談ソウダン 派遣先工場が閉鎖となり6ヶ月前に採用された女性12人が離職することになった。採用時派遣会社の社長が雇用保険を加入させると約束したが、実際の加入手続は入社2ヶ月後だったため加入期間が不足、雇用保険の受給資格がない。社長に話したら「入社時にすぐ入れるとは言ってない」と嘘を付いている。
対処タイショ 派遣会社は、派遣労働者に対し、「就業条件明示書」という働く条件を記載した書面を交付しなければならない。雛形があり雇用保険制度の有無を記載する欄がある。ここに「なし」と書くことは違法だからできない。交付を求めたところ採用時に遡及して作成され、雇用保険制度有無欄に「あり」と記載されていたため、ハローワークが会社の主張を却下、集団で受給資格取得。

 

 

事例062ジレイ062 不法なアパート追い出し(長野県長野市、夫婦、男性38歳・女性30歳)
相談ソウダン 約3ヶ月前に派遣会社にクビにされアパートを出るように言われたが、行き先がないので困っていたら、電気・ガス・水道を止められた。乳飲み子2人を抱え食事も作れず、夏場だが風呂にも入れられない。夜を過ごせない。社長が鍵を使って室内に入ってきて脅かす。
対処タイショ 住居侵入罪の疑いで即刻警察に通報。直ちに警察官がアパートを訪ね、電話で社長に「ブラジル人の家に入ったか」、「電気・ガス・水道を止めたか」、「話し合って解決する気はあるか」と問い合わせ。
社長が電気・ガス・水道は使えるように手配した。できるだけ早くアパートを出て欲しいが行き先が見付かるまでは居てもよい、溜まった家賃は払わなくてよい、解雇予告手当を払う、引越代金も会社が負担する。」ことで合意。
事例063ジレイ063 クビになったがアパートを出ないで済んだ(群馬県前橋市、男性48歳)
相談ソウダン 派遣会社にトラックの運転手として採用された。客先の工場に初めて荷物を搬入した際、些細なことで守衛とトラブル。1ヶ月後、社長から連絡があり、「派遣先の仕事は無くなった、取り敢えずすぐアパートを出て欲しい。」と。事実上のクビ。失業中の外国人が連帯保証人もなく1人でアパートを探すことは無理。できれば今のアパートに住みながら仕事を見付けたい。仕事が見付かるまでの間、休業手当をもらいたい。解雇手当ももらいたい。
対処タイショ アパートは絶対出ないこと、家賃は払わないこと、早く仕事を見付けるようアドバイス。社長が何度もアパートを訪れ退去を求めたが、本人は「何故クビにしたか。仕事がない、行き先も無い、金もない。」と言って相手にせず、1ヶ月後に別の派遣会社で仕事を見付けて働きだした。
3ヶ月後、社長は内容証明郵便で「家賃を払え、払わなければアパートの契約を解除する」と言ってきたが、無視していたら訴状が届いた。
裁判所に答弁書を出して「日本語は分からない」と書いたら裁判所が会社に訴状をポルトガル語に翻訳するよう命じた。3ヶ月後に翻訳文が出たので、日本語でこれまでの事情を詳しく書いて提出。すると裁判所が会社に対し、反論は日本語とポルトガル語の二つを出すように命じたため、社長は和解を申し出て決着。「未払家賃は払わなくてよい、引越代を負担するので3ヶ月後に出て欲しい。」と。これに対し、本人は「3ヶ月後は自分で家賃を払うから更に1年間はここにいたい。」と要求、社長が応じた。
事例064ジレイ064 アパート退去せず職場復帰(東京都羽村市、男性30歳)
相談ソウダン 1週間連続して有給休暇を取ったらクビになり、月末までにアパートを出るように言われ、出なければ電気・ガス・水道を止めると言われた。
対処タイショ アパートを出ないようアドバイス。直ちに労働基準監督署に申告、本人を出頭させた。監督官はアパートの問題には関与できないとのことであったが、人道問題であり会社に問い合わせをするよう強く要請。
監督官が社長に対し「有給休暇を連続取ったら解雇になり、アパートの退去を求められ、退去しなければ電気・ガス・水道を止めると脅かされている、という相談が寄せられているが事実か。」と確認の電話。社長が「そんな事実はない。自分からアパートを出ると言った。」と回答。
その日の夕刻、本人から報告の電話があり、「社長から別の派遣先の面接を受けるように言われた」と。 
事例065ジレイ065 解雇されたがアパートを出られない(島根県出雲市、男性38歳)
相談ソウダン 解雇され、立ち退き要求され、電気・ガス・水道を3日間止められている。小さい子供がいるので友人宅で食事をし、シャワーを借りているが限界。給料をもらってないため引っ越せない。次の仕事は愛知県で決まっている。
対処タイショ 警察署に協力を要請。警官がアパートを訪問、その場で社長に電話。社長が、「すぐ電気・ガス・水道を使えるようにする。明日給料と解雇予告手当、引越代を払う。」ことで解決。
1週間後、警察署担当官より電話があり、「協力に感謝する。ブラジル人家族から感謝された。県警本部会議で報告する。今後も協力を願いたい。」と。
事例066ジレイ066 セクハラと解雇撤回(愛知県豊橋市、女性24歳)
相談ソウダン 派遣先で同僚からセクハラ被害に遭ったため社長に訴えたところ、揉め事になりそれを理由に解雇された。
対処タイショ 労働局に通報。事情を説明した上で、本人を出頭させた。担当官の調査と指導により、解雇は撤回され、休業補償及び加害者からの謝罪を得て職場復帰。
事例067ジレイ067 解雇目的のセクハラ(広島県廿日市市、女性3姉妹16・18・20歳)
相談ソウダン 派遣先の仕事が減り、人員整理が必要になったらしく、急に工場内に嫌がらせやいじめ、セクハラが起こった。3姉妹は同じ職場のフィリピン人からセクハラ被害にあった。派遣会社の差し金と思われる。恐いので3人で一緒に会社を辞めた。雇用保険も社会保険もない。有給休暇ももらったことがない。
対処タイショ ハローワークに雇用保険遡及加入を申立て認められた。
労働局に申立てた結果、会社が解雇予告手当と有給休暇相当分を払う、フィリピン人に謝罪させると申し出て解決。
事例068ジレイ068 妊娠したらクビと言われた(愛知県豊田市、23歳女性)
相談ソウダン 「妊娠した」と工場の担当者に言ったら、その日の夕方派遣会社から「工場の部長から妊娠した人は使えないから今日付で辞めて欲しい。」と通告された。自分は今未だ働けるし、辞めたくない。子供を産んだらまた今の仕事に戻りたい。
対処タイショ 労働局に通報。本人に代わり事前に詳しい経緯を説明した上で本人を出頭させた。労働局が会社を指導、解雇は撤回された。
労働基準法上妊娠中の労働者をクビにすることはできない。妊娠すると解雇制限がかかり、出産後も30日以内は解雇しても無効。
「退職してくれないか」と言われただけではクビではない。この場合は、ハッキリ断ればよい。断りもせず黙って仕事に行かなくなれば自分から辞めたと見なされ不利になる場合がある。
妊娠を理由に軽易な仕事に変えてもらうこともできる。
事例069ジレイ069 妊娠中の解雇(岐阜県大垣市、女性21歳)
相談ソウダン 出産予定日の半年前に解雇通告された。解雇撤回できるか。
対処タイショ 岐阜労働局へ通報、同労働局の指導で即解雇撤回。
事例070ジレイ070 遅刻が多く解雇通告された(栃木県小山市、男性27歳)
相談ソウダン 遅刻が多いと言われて解雇通告された。
対処タイショ 派遣会社の担当者に事情説明を求めたところ週2~3回、各15~20分遅刻して派遣先工場から「もう要らない」と言われたとのこと。本人を説教、心を入れ替えて一生懸命頑張るというなら「お詫びして解雇通告を撤回してもらえるよう頼んでみてもよいが、遅刻する者を雇う会社はどこにもない。2度とするな。」と厳しく告げたところ「頑張るのでよろしくお願いします。」とのこと。派遣会社の担当者に連絡、「本人に代わってお詫びする、解雇通告を撤回してもらいたい、次また遅刻したら直ちに解雇してもらって差し支えない。」と願い出た。すると担当者は、「ではもう1回だけチャンスを与える。」ということで職場復帰。
事例071ジレイ071 いじめられてクビにされたが撤回させた(埼玉県鴻巣市、女性47歳)
相談ソウダン きつい、汚い、危険な仕事を約7年。地下の水浸しの床で長靴を履いて作業、神経痛になりかかっている。誰もが嫌がる職場で、他のブラジル人は作業を交替してもらえるが、自分は工場の担当者にいじめられていて同じ場所で働かされていた。
3ヶ月前の冬場、担当者にホースで水をかけられたため、我慢できず食ってかかったらクビになった。雇用保険も加入してないし有給休暇ももらったことがない。辞めて早くブラジルに帰りたいが、慰藉料を取りたい。
対処タイショ 病人のような暗い沈んだ顔で来所。肉体的にも精神的に参っているらしく見るからに“奴隷扱い”された印象。
余りに可哀想なので工場の責任者と派遣会社の社長に猛烈抗議。剣幕を恐れたか派遣会社は直ちに弁護士を立ててきた。雇用保険未加入、社会保険未加入、有給休暇不与、職場環境の酷さは違法行為であるから弁護士も言い訳できない。
弁護士から和解の提案、解雇予告手当、有給休暇買取り、慰藉料等の要求額を会社が全て受け容れ。その額に本人も驚いたが、最も驚いたのは、ブラジルに帰国する際、菓子折持参で来所した本人の変貌ぶり。その美人が誰かしばらく誰も気付かず。
事例072ジレイ072 ブラジル人ボスの嫌がらせ(兵庫県垂水区、女性62歳)
相談ソウダン 日本語が達者なブラジル人。派遣先の弁当工場で職場のボスと言われるブラジル人にいつも意地悪されていた。理由は、ボスは日本語が分からず、工場の係長の指示がいつも自分を通して行われるため、面子が立たず気に入らないらしい。ある日そのボスに足を絡められ転ばされてケガをした。
対処タイショ 念のためにすぐ病院に行き、診断書をもらって警察に届けるようアドバイス。警察から工場に連絡が行き、嫌がらせはなくなったが、ブラジル人同士の問題であり先行きに不安が残った。
事例073ジレイ073 ブラジル人女性が見せた気骨(山梨県瑞穂町、女性50歳)
相談ソウダン 派遣先工場が移転したため、働いていたブラジル人女性も全員移転先に行くことになったが、派遣会社から「工場から50歳以上の人は要らないと言われた。」と通知された。遠いので行く気はなかったが人をバカにしており許せない。
対処タイショ 契約更新を繰り返している場合の「雇い止め」は、その理由を明示しなければならないが、年齢を理由にした雇い止めは適切でない。
雇い止めは不当で予告手当等を払えと申し入れた。すると派遣会社の弁護士から協議したいとのこと、本人を連れて弁護士事務所を訪ねると、弁護士、社長、担当者、通訳が揃って待っていた。
協議が始まり、「年齢のことは言わなかった」と担当者が嘘を吐き始め、口論になった。社長がニヤニヤ笑いながら、言い訳を始めた途端、ブラジル人女性が啖呵を切った。「こんな大事な話をしているのに社長は何故笑っているのか、真面目にやれ!」と大声で叱咤。緊張した通訳が顔をこわばらせて通訳。すると社長がしどろもどろになって「笑っているように見えるかも知れないが、これが俺の顔なんだけどなあ。」と。女性は意味が分かったらしく再び「笑うな!」と一喝。勝負ありで弁護士が社長と別室で協議、和解金を払うことで合意。
事例074ジレイ074 無断欠勤でクビと言われた(栃木県黒磯市、男性31歳)
相談ソウダン 体調を崩し、ブラジル人の班長に連絡して2日間休んだところ、無断欠勤したという理由で解雇通告された。本人は抗議したが工場の上司は「欠勤の連絡は受けて無い。」という。班長に糺すとクビを恐れて「自分も連絡をハッキリ受けてない。」と曖昧にいうだけ。当時工場の仕事が減っていたらしい。
対処タイショ 上司に直接電話を入れ「ブラジル人同士の連絡の行き違いで申し訳ない。以後気を付けると言っているのでクビは勘弁して欲しい。」と言ったら「分かりました。今後気を付けてもらえればよい。」と。
事例075ジレイ075 解雇されたがすぐ復帰(静岡県浜松市、男性42歳)
相談ソウダン 派遣会社に採用され、コンクリートの粉塵が舞う工場で朝から夜まで3日間働いたら、気持ちが悪くなり、吐き気がして早退した。次の日、朝から食べたものを吐き出し出社できなくなったらクビ。
対処タイショ 仕事で病気になったことが事実であればクビにできない。担当者に労働基準監督署に相談に行くと言うようアドバイス。担当者に話すとすぐ別の派遣先を紹介され働き始めたとの報告あり。
事例076ジレイ076 「雇い止め」の撤回(東京都新宿区、女性30歳)
相談ソウダン ブラジルの大学でコンピュータを学び、日本に1年間県費留学。会社では6年間システムエンジニアとして働いていた。2ヶ月前、能力不足という理由で契約更新を拒まれ失職。入社時、5年以上働いたら払うと約束された帰国航空券代ももらってない。早くブラジルに帰りたい。
対処タイショ 会社に対し、6年も働いてきた労働者を能力不足という理由で契約更新を拒むことはできない。雇い止めを撤回しなければ「本人が訴えると言っている。」と通告。社長が話し合いたいとのことで社会保険労務士を伴って協議。
本人の訴えに社会保険労務士が反論できず、社長が「解雇予告手当と休業手当、有給休暇残日数の買取り、帰国航空券代金」の支払いに応じた。
事例077ジレイ077 退職の強要(埼玉県上福岡市、男性40歳)
相談ソウダン 直接雇用された自動車部品製造会社で7年以上リーダーとして働いている。前月仕事が少し暇になったとき、ブラジル人担当者から「上司からの指示」と言うことで配下のブラジル人ひとりをクビにするよう指示された。本人が、「それは貴男の仕事だ。私の仕事ではない。」と断ったところ翌日から会社ぐるみの“いやがらせ”が始まった。 
契約更新月になり、会社から退職届に署名するよう迫られたため、労働基準監督署に相談に行ったところ、監督官は「会社と話してみる。」とのこと。期待していたら監督署より先に会社から呼び出され、「監督署に相談に行ったからクビだ。」と。
対処タイショ 労働基準監督署に相談に行ったからという理由で会社が労働者を不利に扱うことは禁じられている。会社に電話で「本人に退職届の提出を迫ったこと、監督署に相談に行ったからクビと言ったことは認められない。」と文句を言うと「そんな事実はない。」と予想通り嘘を吐いた。しかし「本人が退職届の用紙を持っている。」と言ったら絶句。
事例078ジレイ078 いやがらせ(兵庫県加古川市、男性40歳)
相談ソウダン 直接雇用の会社で働いているが、いやがらせを受けていて自分だけ残業も土曜出勤も与えられず、以前より収入が大幅に減った。3人の子供がいて生活が苦しい。
対処タイショ 残業を与えないことは労働基準法に違反してない。労働者の健康を害さないよう残業や土曜出勤を与えないことは何ら問題ない。会社に善処を要望するとやはり「何ら問題ない」と回答。
会社の出勤表のコピーを見ると本人だけが残業と土曜出勤が与えられてないことが一目瞭然。故意に嫌がらせをしていることが明か。労働局に申告。訴訟も辞さない旨告げたところ話し合いで解決。外国人労働者の月間平均残業代と土曜出勤手当、合わせその6ヶ月分を支払った。
事例079ジレイ079 係長昇進と残業不払い(新潟県長岡市、男性42歳)
相談ソウダン 有給休暇ももらえず長時間の残業をこなし頑張ってきたが3年前突然係長に昇進させられた。すると管理職になったという理由で基本給は少し上がったが、残業代が付かなくなり、年々収入が激減したため2ヶ月前に退職した。慰藉料などもらえないか。
対処タイショ 労働基準監督署に申告。監督官が実態から見て係長は管理職に当たらない、残業代を払うべきとの見解を示す。監督官立会で本人、会社取締役と同行した社会保険労務士(労務問題の専門家)を交えて話し合い。社会保険労務士に対して、「専門家の立場として残業不払い等を正しいと思うか?」と尋ねたところ返答できなかったため、監督官が「払うべきではないか」と断を下し決着。過去2年分の未払い残業代を遡って計算し直し、全額支払うことを約束。
事例080ジレイ080 集団で職場復帰(愛知県小牧市、男性32~47歳、15人)
相談ソウダン 自動車部品製造工場に派遣され10年以上働いてきたベテラン工員たち。時給単価が最近雇われた工員に比べ約2割高かった。時給の大幅な減額を求められたため2ヶ月前に集団で退職。雇用保険、社会保険、有給休暇も何もなかった。何らかの権利無いか、会社から取れる金は無いか。
対処タイショ 自分たちから辞めてしまったのでは何も取れない。止むを得ず派遣社員の社会保険未加入問題を提起。社会保険事務所に通報、法律に基づき相談者15人と在職者数百人全員の加入実現を求めて申立。
保険料の負担額は会社と派遣社員の折半である。数百人が2年間遡及して加入する場合の保険料は会社にとって巨額、派遣社員にとっても同様。
説明を聞いたブラジル人は全員退職を申し出た。経営継続が不可能と知った社長が社会保険庁に遡及加入義務免除を申し入れた。
社会保険庁は、TRABRASの承諾が必要と回答したため、社長が円満解決を申し入れた。
会社は職場復帰を求める者9人を従来の時給単価で受け容れ、復帰を希望しない者6人には相応の退職金と全員に2ヶ月分の休業手当を払い、有給休暇の取得を認めることで示談成立。
事例081ジレイ081 ワールドカップを見てクビ(岩手県一関市、男性44歳)
相談ソウダン 7年間真面目に働いてきた。ドイツ・ワールトカップが始まり、ブラジルの試合を見たかったため残業を断っていたら解雇された。解雇予告手当を払ってもらいたい。
対処タイショ 労働基準監督署に事情を説明、本人を出頭させ申告させた。予告手当を得られたと思われるがその後連絡無し。
事例082ジレイ082 仕事を覚えたらクビ(静岡県浜松市、男性26歳)
相談ソウダン 親方について車のバックアイカメラ取り付け作業を手伝い3年。腕が上がり親方より上手くできるようになったら警戒されクビになった。以前親方が払ってくれた渡航費、返さなくてよいと言われていた借金など数十万円を返済せよと言われている。雇用保険もない。
対処タイショ 労働基準監督署とハローワークに申告させた。事情聴取を嫌った社長が本人に「よりを戻そう」と持ちかけ解雇を撤回、借用証書も破棄され、仕事に復帰した。
本人は将来に備え、独立自営を考えたいとのこと、TRABRASが開業相談に応じた。
事例083ジレイ083 社会保険加入を求めたら雇い止め(群馬県伊勢崎市、男性36歳)
相談ソウダン 5人家族。将来日本に帰化したい。おもちゃの部品製造会社に10年以上勤務していたが、雇用保険も社会保険もなく、加入を申し入れたら直後に到来した契約更新を拒まれ、退職となった。
対処タイショ 社会保険事務所に加入を拒絶された事情を説明して調査を依頼。同時に労働基準監督署に申告、ハローワークに遡及加入を求め、会社に契約更新と休業手当の支払いを求めたところ会社は抗すべくもなく全ての要求を受け容れた。職場復帰、雇用保険と社会保険加入も実現。
事例084ジレイ084 労働基準法(静岡県藤枝市、男性56歳)
相談ソウダン 労働基準法とはどういう法律でブラジル人も日本人と同じように扱われるか。
対処タイショ 労働基準法は、労働者の労働条件の最低基準を定めた法律で労働者を使用する全ての事業場に適用される。
労働基準法に定める基準に満たない労働条件は無効、この法律は日本で働く全ての労働者に適用され、国籍によって差別されない。
事例085ジレイ085 労働基準監督署の所在地(愛知県豊明市、男性40歳)
相談ソウダン 残業割増賃金を払ってくれない。労働基準監督署に相談に行きたいが何処にあるか。
対処タイショ 労働基準監督署は全国各地にあるが、相談や申告に行くところは、会社(雇用主)の住所地を所管する労働基準監督署である。
事例086ジレイ086 就業規則とは(静岡県清水市、男性42歳)
相談ソウダン 雇用契約書に「就業規則に従う」と書いてあるが就業規則を見たことがない。どういうものか。
対処タイショ 就業規則とは、会社が職場における労働者の労働条件などを定めた規則。
 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分が無効。日本人でも外国人でも常時10人以上の労働者を使う会社は就業規則を作成して労働基準監督署に届出、職場で周知させる義務がある。
就業規則はいつでも見やすい場所に掲示し、あるいは備え付けておかなければならないが、日本語で書かれているから読める人の協力が必要。ポルトガル語やスペイン語の翻訳文を用意している会社もある。
就業規則を作成し、あるいは改定するときは、労働者の過半数を代表する者の意見が必要。 
事例087ジレイ087 解雇理由書(三重県四日市市、男性34歳)
相談ソウダン 仕事が少なくなったから月末でやめてもらいたいと予告され、退職金を払うと言われたが退職金はもらえず解雇された。
対処タイショ 会社に何故解雇されたか「解雇理由書」の交付を求めた(会社には交付する義務がある)が、それには「業務量が減ったため」と記載されていた。
会社が、業務量が減ったことを証明することは容易ではない。また、業務量が減ったことが事実としても単にそれだけで解雇が正当と認められる分けではない。
弁護士と相談、解雇理由書を証拠に賃金仮払仮処分を申立てた結果、和解となり職場復帰は求めず相応の金員を得た。
事例088ジレイ088 退職金が支給された(静岡県磐田市、男性59歳)
相談ソウダン 従業員150人規模の機械製作会社に直接雇用されて15年、就業規則で60歳定年となっている。退職金は無いと言われたが少しでももらえないか。
対処タイショ 就業規則を入手するようアドバイス。会社はなかなか提出しなかったが2ヶ月後に退職金規程部分のコピーを交付。
就業規則の退職金規程をみると会社は国の「中小企業退職金基金」制度に加入していたが、期間契約社員であるブラジル人は除外されていたらしい。しかし就業規則の60歳定年退職の規程を適用するからには全ての規程を適用すべきである。話し合いの結果、基金相当額の退職金支給が確約された。
事例089ジレイ089 離職理由の変更と休業手当支払いを求めて裁判(長野県上田市、男性50歳)
相談ソウダン 派遣会社が契約更新時、予告無く期間満了で雇い止めにされたため、雇用保険金は90日分しかもらえない。離職の理由は会社都合だから180日分もらえるはず。また、1年前、仕事が暇になり頻繁に休まされたが、その時の休業手当数十万円をもらってない。労働基準監督署に申告し、監督官が社長に支払うよう指導したが応じない。裁判したい。
対処タイショ 離職理由につきハローワークに相談。担当官が事情を理解し、社長に離職理由の変更(会社都合)を指導したが応じなかった。
労働基準監督署の監督官は、この社長相手では休業手当は取れない。裁判で勝ち取る以外にないし、やれば取れると言い、休業手当を計算した書類をFAXしてくれた。お墨付きである。
本人は日本語を話せる。協力してくれれば自分1人で法廷に立つという。そこで訴状作成に協力。
初回期日には社長自らが出廷して2人が対決。開始直後に裁判所の勧めで和解となった。会社が「休業手当を半額払う、離職理由は会社都合に変更する」というものだった。裁判上、休業手当は付加金を加え倍額請求しているため、半額といっても全額もらったのと同じである。
その後、以前この派遣会社を離職して休業手当をもらっていなかった数人のブラジル人が、この結果を耳にし、続々と同じ労働基準監督署に同手当の給付を申立てた。同じ監督官の指導に従い、会社が次々に支払いに応じるという現象が起きた。 
事例090ジレイ090 あっせん不調で裁判(静岡県富士市、男性34歳)
相談ソウダン 不当な理由で解雇された。
対処タイショ 静岡労働局に個別労働紛争解決制度の「あっせん」を申し出、開始されたが金額が折り合わず不調。訴訟準備資料一式を整え弁護士を紹介して裁判へ。
相応の賠償金を得たと報告あり。
事例091ジレイ091 雇い止めで裁判(愛知県岡崎市、男性45歳)
相談ソウダン 派遣会社で1年契約を更新、10年以上働いている。ヘルニアの持病があり重量物を扱う仕事はできない。これを理由に契約更新を拒絶された。
対処タイショ 地元の弁護士を紹介。裁判所に地位保全等仮処分命令申立て。2ヶ月後に和解して職場復帰。2ヶ月分の休業手当を得、今後重い仕事はさせないことで合意。
事例092ジレイ092 賃金立替え払い(埼玉県さいたま市、男性49歳)
相談ソウダン 社長が「金がない」と言い、4ヶ月分の給料をまだもらってない。会社を辞めた。他にブラジル人の被害者が4人いる。
対処タイショ 労働基準監督署に申告。監督官が調査中、社長が電話に出なくなり、事務所を訪ねても電気が消え事務員も不在。登記上は会社が存続しているため対処方法がない。
更に3ヶ月が経過したが、状況に変化が無いため、本人に労働基準監督署長に対し「未払賃金の立替払制度」の適用を申請させた。その3ヶ月後、同署長の認定により国から給料(未払賃金総額の80%)が立替えられた。
事例093ジレイ093 腰痛で解雇(神奈川県川崎市、男性29歳)
相談ソウダン 重量物を扱う鉄工所で3年間勤務。腰痛を訴えた直後、仕事が減ったからと言う理由で解雇を予告されクビになった。病院で見てもらうと椎間板ヘルニア。
対処タイショ 弁護士を紹介。不当な解雇処分に対し、賃金仮払仮処分の申立。まもなく会社が解雇を撤回し復職。作業は軽作業に変更してもらったが腰痛は治まらないので労災申請手続中。
事例094ジレイ094 労災保険制度を知らないブラジル人(岐阜県大垣市、女性30歳)
相談ソウダン 病院ロビーからの電話相談。派遣先工場のピストンに指を挟まれ爪が剥がれて治療を受けている。まだ強い痛みが残っているが、職場に早く復帰しなければクビになる。病院には通訳がいるが医師との意思疎通ができず、医師が怒っている。
対処タイショ 仕事上のケガであるから労災保険によって治療すべきであるが、本人は労災保険制度を知らず会社も教えない。働かなければ給料をもらえないし、クビを恐れ治療代の負担を心配してひたすら職場復帰を急いでいる。
病院の担当医師に直接電話を入れて事情を説明、労災保険適用と治療の継続を願い出たところ、医師も同意見で、「治療の継続が必要だと言っても理解せず、痛みを訴えながら治療打ち切りを望んでいる。」ことを怒っていることが分かった。労災手続に関し医師の協力を取り付けた。
本人に労災保険制度を教え、会社はケガで治療中の人をクビにできないこと、治療費は保険で賄ってもらえること、休業補償(給料の80%)も支給されることを説明、治療に専念するようアドバイス。手続は会社に頼めば協力してくれる、してくれなければ協力する旨伝えた。
事例095ジレイ095 腰部椎間板ヘルニア(愛知県知立市、男性32歳)
相談ソウダン 派遣先工場で約4年間、重量物取扱作業(タイヤ等の上げ下ろし)に携わっていたが腰部椎間板症となり後遺障害12等級が認定された。相応の損害賠償金を払ってもらいたい。
対処タイショ 工場が大手企業であったためか、申し出により派遣会社が本人の満足する額を支払ったため解決。
事例096ジレイ096 腰椎横突起骨折(愛知県西尾市、男性40歳)
相談ソウダン 直接雇用の精密機器製造工場で清掃作業中、暗かったため誤って深さ3mの溝に転落骨折、入院。会社は早急な職場復帰を求めるが本人は治療を継続したい。
対処タイショ 完治するまで治療を継続するのは当然。半年後治療打ち切りとなったが、後遺障害診断手続中、相応の賠償金支払いを恐れた会社が診断結果判明前に多少の見舞金、航空券代金及び退職金を渡して帰国させた(本人の身内の話)。
事例097ジレイ097 傷害保険金詐取(愛知県豊橋市、男性42歳)
相談ソウダン プレス作業中、右拇挫滅、同末筋切断で仕事ができなくなり、退職した。何か会社からもらえないか。
対処タイショ 明らかな労災事故。労働基準監督署に申告。労災手続を開始、治療代が返金され、休業補償金が払われ、後遺障害等級10級が認定され、国から後遺障害一時金が支払われた。
給料明細書をチェックしたところ、本人は別途会社の傷害保険に加入し、毎月掛け金を控除されていたが本人は加入を知らされていなかった。加入が事実であれば大怪我をしたのであるから保険金を請求できるはず。
保険会社を突き止め問い合わせた結果、会社が本人に代わり既に保険金を全額受け取っていることが分かった。会社は、日本語が読めない本人を騙し、「保険金請求書」を、新たに傷害保険に加入するための「申込書」と偽り本人に署名押印させ、振込先を会社口座にして保険金を詐取した。
損害保険会社とその代理店の責任を追及した結果、誤りを認め、改めて全額を本人の銀行口座に振り込んだ。民事の損害賠償金請求は、訴訟準備資料一式を用意して弁護士を紹介。
事例098ジレイ098 労災保険請求手続上の注意(山梨県南アルプス市、男性47歳)
相談ソウダン 労災保険請求手続に事実に反することが書かれているらしい。
対処タイショ 書類を見ると実際は床が油で滑りやすくて転倒したにもかかわらず、「本人の不注意で転んだ」と書いてある。
労災保険請求手続は、本人が行うものであるが、現実には会社が代行してくれる。その際、事故の原因や発生状況を記述する必要があるが、ここが正しく記載されない場合が多い。会社が、後々の損害賠償責任をできるだけ免れたいからであり要注意。
事例099ジレイ099 労災保険不支給(長野県諏訪市、男性28歳)
相談ソウダン 妻と2人の幼児あり。1年半前、派遣先工場でロボットの火花が右目に入り火傷をした。当時工場の人も派遣会社の担当者も何度頼んでも病院に連れて行ってくれなかった。目が赤くなり涙が止まらなくなり、痒みが出て物が見えにくくなり、事故の約2週間後、ようやく派遣会社の通訳に伴われて病院に行った。何が話されたか分からない。その後仕事できずにクビ。収入無く生活が困窮。
対処タイショ 取り急ぎ市役所に生活保護を申請したが、妻が若くて働けるため最寄りの保育所を紹介されたが、何故か幼児を預けることを拒んだため却下された。
労働基準監督署に申告。監督署のアドバイスで大学病院眼科を受診して精密検査。労災申請手続をしたが、病名は「角膜混濁(ぶどう膜炎後)」とされ、火傷によるものではない、火傷の痕跡も全くないと診断され、医学的見地から労災保険適用を認められなかった。労働局に審査請求したが、同様の理由で却下。弁護士に民事上の争いを相談するも当然ながら労災事故の認定が必要とのこと。
その後、上部機関に再審査請求中、本人はあきらめたか連絡取れず。転居したか帰国したか不明。
事例100ジレイ100 エレベータ転落事故と労災隠し(千葉県鎌ヶ谷市、男性47歳)
相談ソウダン 東京都心の9階建てビルのエレベータ塗装作業中、地下1階でエレベータに乗ろうとしてドアを開けたら籠がなく、地底に転落して左大腿骨骨折等の重症を負った。ビル管理会社もエレベータ保守会社も事故を隠すため、救急車を呼ばず、社長からも仕事中のケガと言わないよう厳重に口止めされていたが、大きな怪我で隠せなくなり、今は労災保険適用で治療中。2度の入院・手術を受けたが、歩行困難となり生活に大きな支障が残った。後遺障害認定は9等級、相応の損害賠償金を払って欲しい。
対処タイショ 事情を聞き取り、調査を進めた結果、会社が労災事故を隠すため、労災手続書類に事故が発生したビルとは全く異なるビル名と所在地が記載されていた。労働基準監督署に通報、騒ぎとなる。
エレベータは、元来その階に籠が無いと、ドアが絶対開かない構造になっている。事故発生時会社はドアを点検したが開いた原因が不明という。もしかしたら本人が操作して開けたのではないかなどと疑い、多額の損害賠償金請求を恐れている。
調査資料を含む訴訟準備資料一式を整理して弁護士を紹介、裁判で争ったが、専門家を相手にドアが故障していたことを証明できない。本人は非常に苦しい立場に立たされたが、最終的に女性裁判官が身体不自由な本人に配慮したか、比較的本人に有利な内容の和解案を提示してくれたため合意に到った。満足な額とは言えなかったが事故発生以来、約6年半、区切りがつき本人と家族は笑顔で帰国した。

 

 

 


 









 

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