Abrace o Rio! (リオを抱きしめて!)

 

  連日報道されているブラジル南東部リデジャネイロ州で起きた豪雨災害の模様。初動態勢の遅れが非難されていたり、赤十字ボランティアたちが地元当局の官僚的な体制に怒りをぶつけていたりしていますが、さすがはIT時代、銀行の対応は迅速かつスマートでした。

  発生後早い段階から銀行のATMでは作動時に寄付を募る呼びかける画面が自動的に現れるようになりました。被害が集中した3都市(テレゾーポリス、ノヴァ・フリブルゴ、ペトローポリス)の名前でそれぞれ口座を設置。南東部で一括に寄付を募るのではなく都市別になっているところがユニークです。それら3都市とゆかりも縁もない人はどこを選んでいいのか、戸惑わされるのではないだろうかと思いました。

  この呼びかけで印象に残るのが、寄付を呼びかけるメッセージです。「Abrace o Rio! リオを抱きしめて!」――。ハグの文化がない日本では「だきしめて」という言葉はなかなか出てきそうにありませんが、感情に直接訴えてくる言葉です。またATMだけではなく、利用者の多いツイッター、フェイスブックといったソーシャルメディアを駆使した募金活動を展開しており、その訴求効果も大きそうです。こういった点では日本よりブラジルのフットワークが軽いような気がします。災害が多発する日本の大手銀行でも今後試されていく手法かもしれません。

 ただし、防災先進国・日本の取組みや防災の知恵はブラジルでも活用されていくべきだと思われます。ブラジルでは雨季の時期になると各地で毎年のように集中豪雨による土砂崩れや洪水が発生しますが、政府も自治体も積極的な対策を練ることなく、防災計画はあっても“絵に描いた餅”で予算が付かないという状況が続いてきました。

  今回の災害を特集した有力誌「Veja」の表紙の見出しはRio de Janeiro (リオデジャネイロ=1月の川)にかけて「Os Mortos de Janeiro」(1月の死者)。リード文は「毎年雨季に何百人ものブラジル人が命を落とす、この状況をいつまで我々は受動的に受け入れていくのか?」でした。
2008年にはサンタカタリナで死者135人(及び被災者5万4千人)、2010年にはリオデジャネイロで死者283人(及び被災者1万1千人)と、続けて大規模な水害に襲われているブラジル。悲劇を繰り返さないために日本が協力できることが多い気がします。 

(筆者 小林大祐 2011年1月19日)

(筆者プロフィール) 

小林 大祐 
1998年早大社会科学部卒。
ブラジル邦字新聞社「ニッケイ新聞」元記者。
現在建築コンサルタント会社勤務、ブラジル北東部駐在、
JICA技術協力プロジェクト従事。

 

 

サンタクロースの雇用事情

 

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国単位で見た場合、世界最大のカトリック信者を抱えているとされるブラジル。私の住んでいる土地はナタル(クリスマス)市というだけあって、ショッピングセンターや商店だけではなく、大通りの街路樹にも華やかな飾り付けが施されています。「クリスマス」という名の海沿いの町で真夏のクリスマスを過ごそうと全国から人が集まってきます。

さて、ブラジルではこの時期になると、どの土地のショッピングセンターでも凝った飾り付けがフロアの中央に飾られ、サンタクロースおじさんが記念撮影に応じている光景が見受けられます。そのサンタクロースを“演じて”いるのは決まって白いヒゲをたくわえた小太り・年輩の白人男性ですが、どこのだれがいくらの報酬でその“仕事”を請け負っているのか、気になります。

先日の新聞にそうしたサンタクロースの雇用事情が掲載されていました。サンパウロ市のケースで言えば、演劇関係者の組合が仕事を請け負っているケースが多く、自宅への個別“派遣”にも応じているそうです。報酬の相場も明かされていました。聖夜にプレゼントを持って訪問した場合、“つけヒゲ”のサンタクロースは400レアルから600レアル。自前のヒゲのサンタクロースは600レアルから1,500レアルだそうです(1レアル=約50円)

子供たちの夢を買うのも安くはありません。私の7歳の長女もサンタクロースの存在を信じていて、自宅に置いたクリスマスツリーに「サンタさん、だいすき。XXXのプレゼントを持ってきて!」と書いた紙を飾っています。そんな子供たちの純粋な信念を見ていると、出費の重なる年末年始ではありますが、頑張ってクリスマスを演出しているご両親が多いのだろうと思います。
 
( 筆者 小林大祐 2010年12月13日)

 
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