立つ鳥跡を濁す?

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ブラジルに普及したい“ことわざ”は何か?――。実業家の傍ら、日本文化の継承に努力されている旧知の日系男性の方と先日、両国のことわざについて話していたとき、そんなことが話題になりました。そのときはパッと良い例が頭に浮ばなかったのですが、次の記事を目にしたとき、「立つ鳥跡を濁さず」の精神を何より伝えたいと思うに至りました。
 
北東部セルジッペ州のある街。今年11日に就任した新市長は広場の木影にあるコンクリートのベンチに腰掛けて就任後初めての公文書にサインした。机がないため書類はひざの上に載せていた。
 
記事の書き出しだけを見ると、のどかな田舎の牧歌的な風景のようです。しかし北東部の内陸の1月は日中40度近くまで気温が上がります。砂塵が舞い、周囲の雑音も耳障りなことでしょう。落ち着いて職務が遂行できる環境とは思えません。どうしてこの市長はそうせざるをえなかったのでしょうか。仕事始めの日に市役所に入ったところ、電気が切られ、執務室は物置部屋のようにガスボンベやナベが置かれていたため、広場の木陰に“避難”したそうです。
記事では「これは就任直後のブラジル全国の市長に起きているカオスの一例である」とありました。「建物は荒廃し、電気・インターネットは支払滞納のためカットされ、公用車はメインテナンスされずにボロボロ、執務室には家具も残っていない」状況で前任から引き継がれるのは決して珍しくないようです。
後任者を困らせようとするブラジルの悪しき伝統。紙面ではその数々を都市・市長の名前を明記しながら紹介しています。前市長が鍵を渡してくれなかったため部屋に入れなかった、前市長の不正が発覚した年末に警察の手入れがありPC等の機材すべてが押収され一切残っていなかった、就任してみたら公立校教師の給料や児童バス代が未払い、新年早々ゴミが路上に溜まっていると思えば回収業者への支払いが滞納……。あの手この手を使って後任者の“邪魔”をしている印象を受けざるを得ません。オフィスを機能不全のまま放置、債務を残すのは常套手段のようです。
ただ、後任者も黙って“いやがらせ”を受け入れるわけではありません。前任者の決めたことを見直し、前任者が結んだ契約を凍結したります。この応酬。なんていうムダでしょうか。ブラジルのような資源に恵まれた大国でなかったらとっくに破綻していると思わざるを得ません。 ※上写真は紙面に掲載された「まるでゴミ捨て場のような就任直後の市長の執務室」。
201324日 リオグランデドノルテ州ナタル市 小林大祐
 
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