当選したピエロ候補に司直の手

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前回コラムで取り上げた、自称「愚か」なピエロ候補チリリッカさんの選挙結果は果たしてどうだったか?―――。
予想を上回る135万票を獲得し、選挙区サンパウロ州の連邦下院議員枠でトップ当選。実に州内有権者の6%が彼に投票しました。
「チリリッカに投票して! (ブラジルの政治が)どうせこれ以上悪くなることはないのだから」
これがチリリッカさんの選挙広報テレビCMでの決めゼリフで、一世を風靡する流行語にもなりましたが、多くの有権者がその言葉に共感を示したとも言えます。
今回の選挙にはチリリッカさん以外にも歌手、俳優、サッカー選手など数々の有名人が出馬し話題になりました。しかし、大半は知名度に頼った印象も否めず、あえなく落選。ブラジル国民も決して“愚か”ではなかった証拠と言えます。そんな中でブラジル選挙史上に残る得票数を獲得したチリリッカさん。当初こそは泡沫候補と揶揄されながら大勝利を収めた背景には、その風刺とユーモアに満ちた独自のマーケティング戦略の成功がありそうです。
 しかし――。選挙後、彼にある疑惑が浮上し、その当選の如何は司法の判断にゆだねられることになりました。その疑惑とは、彼が読み書き出来ない“文盲”ではないかというものです。文盲率10%前後のブラジルでは選挙に立候補する際はもちろん、運転免許に資格取得など様々な機会においてまず「読み書き可能である」ことが前提条件であり、それを事前に問われます。彼はそれに対して“虚偽の申告”をしたのではないかとの告発があったのです。
 果たして最後にどんなオチが付くのか。10月31日の第二次投票に持ち込まれたブラジル大統領選挙の行方と共に注目されます。

 

【筆者プロフィール】 小林 大祐 

1998年早大社会科学部卒。

ブラジル邦字新聞社「ニッケイ新聞」元記者。

現在建築コンサルタント会社勤務、ブラジル北東部駐在、

JICA技術協力プロジェクト従事。


 
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